七夕特別企画 2 願うよりも確かなもの [二次創作SS]
今年はやるよ、『鋼』&『西方の魔女』合同七夕特別企画♪
はい!お久しぶりです。そして、ごめんなさい!
七夕・・・もう、と~っくに過ぎてるよ(汗)。
アップが遅くなったのは、わたしめの怠惰のせいです。
え~と、しかも今一なモノになってしまったりしたのですが、まぁこれもひつとの未来編なんで、その点ご了承ください。
それでは、興味のある方は『続きを読む』からどうぞ...
一年にたった一度だけの『逢瀬』___
この場合、それよりはマシなこの状況を喜ぶべきなのだろうか?
いや、喜ぶべき・・・だな?
『西方の魔女』捏造未来編番外:願うよりも確かなもの
大総統執務室に飾られたソレは、ハボックにとって自棄に懐かしいモノだった。
「・・・また、なんか企んでるんっスか?」
また、退屈だとかなんだと言って、これをネタにただ遊びたいのか?程度の思惑しかなかったのだ。
しかし、話を振られた相手には、もっと深い思惑があったようだ。
「た、企む?な、なんのことだ、ハボック少将・・・こ、これはだな・・・え~と、コレに託けて、だ、誰かに逢いたい・・・などとか云うことでは・・・いや、別に深い意味はないぞ!」
そう、何故だか思いっきり怪しい反応が返ってきた。
「・・・・・閣下・・・それじゃあ却って、怪しすぎっスよ・・・」墓穴を掘りまくりな上司の答えに、ハボックは呆れた様に溜め息をついた。
ああ、確か・・・以前にも、これと同じ様な状況があったなぁ、などと思いつつ、その時ふと笹の葉に託された色鮮やかな短冊達の内容に、ハボックは目を惹き付けられた。
『せめて、あと2cm背が伸びますように』
____あ~?この字は・・・フュリー、だな。なんつ~か代わり映えのしない『お願い』と云うか・・・しかも2cmって妙に具体的な数字だけど、やっぱこれはど~考えても無理があるんじゃなかろうか?
『特別休暇とアイツをくれ!』
____・・・ブレダ、お前ってやつは・・・諦める気はないんだな・・・>汗 アイツも、苦労すんな・・・
『どうか皆が私の話を最後まで聞いてくれます様に』
____なぁ、ファルマン・・・いい加減、諦めろよ・・・なっ?
『目指せ、大願成就!するぞ、結婚!!』
____・・・無理だから!・・・これは、ぜって~無理!!お願いだから、諦めてくださいよっ!!!
『あの人が健康で、この幸せがいつまでもつづきますように』
____ああ、これが一番まともな『お願い』・・・だよな。
最後の一枚を目にしたハボックの口許が、漸く穏やかな笑みを零す。
そう、少なくともホークアイ准将の『お願い』だけは、この中で一番叶いそうな類のモノだろう。
この『お願い』を書いたホークアイ准将とその幸せそうな家族の肖像を思い起こしながら、ハボックはクツクツと笑った。
そして、逆に絶対叶わないだろう、と思われる『お願い』を書いた、報われない相手に視線を遣る。
ブスリ、と不機嫌そうにハボックの様子を見遣るその相手は、ハボックと視線が合うと、大きくひとつ溜め息をついた。
「私のソレは、そんなに無理な『願い』だと思うか・・・?」
「ええ、無理っスね。」
ハボックの即答に、この国の最高権力者は、目の前の机と思いっきりお友達になった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「なんだ、ここにもあるのか?」
その時、大総統執務室の扉が断りもなく無造作に開けられ、そこから涼やかな声と共に本来ならこの時期、ここには居る筈のない一人の女性将官が入室してきた。
「「イシス大将!?」」
「やぁ、マスタング君。それにジャンも・・・久しぶりだな?」
その登場に唖然とする二人に、実は今までの話題の主であったイシス・ハミルトン大将が小首を傾げてはにかむ様な笑みを浮かべた。
「いつ『西方』からお戻りになられたんです!?」
喜色満面と云った表情を浮かべつつ、この国の最高権力者はしかし、何故だか思いっきり敬語を使いながら、自分より下位の相手を両手を広げて迎え入れた。
「ん~?ああ、つい今しがたこちらへ着いたばかりだ。」
大総統自らの諸手を挙げての歓迎に、イシスが困ったようにハボックの方へと視線を遣る。
その視線を受け止めたハボックは、わざとらしくコホン、と軽く咳払いをすると、自分は何も見ていません、とアピールするかのように2人に背を向けた。
そのハボックの気遣いに、全く気付かずといった様子でロイがイシスの小柄な身体をすっぽりとその腕の中へと抱き寄せた。
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・え~と・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
もう頃合いだろうか、とチラリチラリと視線を背後へと寄越していたハボックが、流石にイライラとした様子を見せ始め___やがて、いつまでそうしているつもりだ、と言わんばかりに咳払いをしながら上司の注意を引こうと試みる。
しかし、そんなハボックの様子などお構いなしに、ロイがイシスを離すことはなかった。
「あ~・・・すまないが、マスタング君。いい加減離して貰えない、かな?・・・その、ジャンも困ってるみたいだし?」
素直に自分の存在を確かめることに余念のないロイを容認していたイシスもまた、流石に困ったようにそう言葉を発する。
が、しかし、その声が聞こえているのかすら怪しい相手は、イシスを抱き寄せた腕から力を抜く素振りすら見せず・・・とうとう、ハボックの堪忍袋の緒が切れた。
次の瞬間、凄まじい殺気が周囲に立ち込め・・・
チッ...
(・・・おい、お前ら・・・今、本気で舌打ちしただろう?)
自分を挟んで ただし、射程範囲内からは流石に外されている 互いに最も得意とする得物を構え対峙する最高権力者とその直属の部下の間で、イシスは大きく嘆息するしかなかった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「ところで、イシス大将は既になにか『願い事』を書かれたのですか?」
漸く落ち着きを取り戻したロイが、ニコニコと満面の笑みを浮かべそう尋ねた途端、イシスが訝しげに眉を顰めた。
「『願い事』?」
「ええ、明日は『七夕』といって、短冊に『願い事』を書いて笹に吊るし、その成就を祈るイベントがありましてね。」
「・・・ん、『七夕』?それって確か、本来は歌や字を書いて、裁縫や字の上達なんかを祈るイベントじゃなかったか?」
「「・・・・・。」」
随分と昔になるが、初代『スペード』から、そう云う風に聞いた記憶があるんだけど?と、イシスがさも不思議そうに小首を傾げた。
「ええ、まぁ確かに・・・」
『七夕』の本来の意味をきちんと把握しているイシスの問いかけに、ロイは確かにそれが正しい認識だと肯定しながら、そこから派生した別の意味もあることを説明することになった。
「ふ~ん、一年に一度の逢瀬、ねぇ?それに肖るのは別に悪くはないけど、私は遠慮したいかな。」
「どうしてです?」
「そりゃ、その牽牛と織姫の関係はそれでいいとして、私の『願い事』なんか、叶えようと思えば自分でどうにかするしかないささやかなモノだもの・・・なんで何かに縋ってまで叶えなきゃいけない訳?」
そう答えつつ、イシスは笹の葉に託された色鮮やかな短冊達の内容をしげしげと見遣り、ロイが書いたであろう短冊を目にすると、ムッとした様子で顔を背けた。
「それにさ、だいたいこんな願掛けするぐらいなら、叶うよう行動を起こせばいいじゃないか!」
「・・・・・は?」
「・・・・・え?」
「・・・あ・・・」
思わず漏れたのであろう本音に、しまった、とばかりに慌てて自分の口を塞ぐイシスの姿に、ロイの口許が綻んだ。
「成る程。行動に移して構わないと・・・では、お言葉に甘えて・・・」
「うっ!い、いや、待て、マスタング君!」
明らかに墓穴を掘ったであろうイシスの様子に、ハボックは肩を竦めた。
にこやかな笑みを浮かべながら、一方はじりじりと前へと間合いを詰め、一方は間合いをとろうと後退していく。
そんな2人の遣り取りをのんびりと傍観しながら、ハボックは嘗て自分が『心の短冊』にかけた願いを思い起こしていた。
そう、あの時自分が望んだもの、それは・・・
何気ない些細な日常がつづくこと___
しかしその些細な日常の根幹にあった『彼の人』は、今はもう「ここ」にはいない。
それでも・・・その代わりに、いまこの瞬間、自分の傍には『彼の人』が遺していってくれた『大切なヒト』がいるのだ。
そう、それは叶うことも不確かで曖昧な『願い』よりも、確かなモノ・・・
「・・・なんか、オレ、もしかしなくともお邪魔っスよね?」
思わず零れた笑みと共に、ハボックがそう声を漏らすと、イシスが本気で助けを求めるようにハボックへと視線を寄越した。
その表情に、しかしハボックは『自業自得でしょう?頑張って下さいね?』と無言のエールを送る。
中央と西方、と云う距離はあれども、その気さえあれば会うことは容易だ。
まぁ、一年にたった一度だけの『逢瀬』に比べれば、この状況は喜ぶべきモノの筈である。
ならば・・・
「ねぇ、閣下。そんな『短冊』に書かなきゃ叶わない『願い』でもない訳ですし・・・まぁ、頑張ってください。」
「ハ・・・ハボック?」
「ああ、でもイシスとの件に関しては、オレの応援は期待しないで下さいよ。」
ハボックの言葉に、なにやら期待して顔をほころばせた上官に、しかし当のハボックは、に~っこり、と如何にも取って付けたような『笑顔』を口許へと浮かべた・・・が、その目は剣呑な光を宿したままだった。
それは暗に、イシスに本気で手を出したその時には、それなりの『覚悟』はして下さい、と云う意味を仄めかすモノに他ならなかった。
こうして大総統執務室に、とてつもなく気拙い沈黙を残しながら、ハボックは「今日分の仕事を終えたのでこれで失礼します。」と、一声かけ執務室を後にした。
背後でパタリと音をたてて扉が閉まる。ふと窓の外へと視線を遣ると・・・いつの間にやらシトシトと細かい雨が降り出しているのが目に止まった。
ああ、そう云えば、あの日もこんな風に雨が降っていたな・・・と、ハボックはもう随分と昔のことを思い出す。
あの七夕の夜、雨の降る窓辺から空を見上げつつ、何時ものように『彼の人』と共に食事をした。
ありきたりであった筈のそのひと時が、何故だかとても神聖なコトのように思えたのはきっと、それがその時のハボックにとって、なによりも掛け替えのない大切な瞬間だったからだ。
過ぎ去り、決して帰ることのないあの些細な日常は、今でも大切な『思い出』だ。
____明日の夜は晴れるだろうか?
そんなことを思いながら、ハボックは今の自分にとって『大切なヒト』が待つ場所へときびすを返した。
『西方の魔女』捏造未来編番外:願うよりも確かなもの END.
『あとがき』と云う名の言い訳
うぎゃ~!七夕企画をするつもりが、今はいつだよ!?
しかも、内容がこんなんでいいのかっ!って感じです。
すみません。今の華月の文章力では、こんなものしか書けません(泣)。
え~と、以前アップした七夕企画SSをベースにした未来編です。ここでは、ロイエリ設定が根幹にはあるんですが・・・ちょっと今までのとは設定が微妙に違う。
何故ならここでのロイは、イシスさんとはもっとドロドロな大人な関係なんだよ(汗)。
ええ、実はアップしてないだけで、15禁(笑)な結構凄い設定もあったりするのだ!
あ~、まぁ興味ないよね?
それでは、皆様、次回は水も滴る(爆)設定で夏全開のヒュハボをお届け予定です。
お楽しみに~♪
http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=isisu
共通テーマ:コミック
コメント 0